高級レストランでワインサーブ経験のある筆者が、ソムリエやバーテンダーが使っている道具をまとめる。
なお、ご指導くださったのは札幌にワインショップを持つシニアソムリエの方です。
基本の3種
ソムリエナイフ
ソムリエの最重要アイテム。
使い方が難しいともっぱらの評判だが、上級者としてはコルクスクリューを使うわけにもいかない。(少なくとも、もてなすべき客の前では)
扱いはYouTubeなどで動画を見て練習しよう。
調べても足が付かないような一品であれば安物でもOK、調べて簡単に特定出来るものならば高級品を買うのがよい。
トーション
テーブルナプキンを意味する業界用語で、ワインサーブする時にはワイントーションと呼ぶ。
色は白がフォーマルで、織り柄の入っているのも上品でいい。
ワイン染みの目立たない赤もよし。
もちろんテーブルナプキンにも流用できる。
ワイングラス
赤、白、スパークリングでそれぞれ専用のグラスがあるので区別して使う。
リーデル、スワロフスキー、バカラ、カガミクリスタルなどが筆頭ブランド。
もう少し手頃なところを挙げれば東洋佐々木ガラス。
手頃な価格のブランドでは「ソーダガラス製」のグラスもしばしば見受けられるが、透明度と屈折率が高い(つまり美しい)のはクリスタルガラス製。
応用の3種
デキャンタ
赤ワインを「開かせる」ために使う道具。
赤ワインはデキャンタに移すことで、味がまろやかになったり香りが華やかになったりする。
ただし、何でもかんでもデキャンタージュすればいいわけでもないので、手元にあるワインをデキャンタージュするべきか否か調べる必要がある。
白ワインやスパークリングワインには使わない。
ワインクーラー
氷水を入れて、白ワインやスパークリングワインをテーブル上で冷やすのに使う。
ただし赤ワインは常温に近い温度で飲むのが最適であるため、ワインクーラーを用いない。
テーブル上が狭い場合に、このようなワインクーラーホルダーを用いることもある。
ワインセラー
ワイン最大の敵である暖気から、ボトルを保護する道具。
ワイン保存の理想温度は13度前後。
個人で持つには敷居が高いと思われがちなワインセラーだが、家庭向けのものは価格が1万円台~と非常に手頃。
正確に言えば、これらの1万円台で買えるものはワインセラーでなく、加温機能が無い「ワインクーラー」なのだが、冷気によるワインの劣化はほぼ無いのでワインクーラーで十分。
ワインボトルは多湿を好み、日本は多湿な気候であるため、湿度管理機能も無くて問題ない。(気になる場合は、容器に水を張って庫内に入れておくとよい)
保存の3種
バキュバン
絶大な信頼を誇る、真空タイプのワイン保存道具。
キャップで栓をして上から空気を抜くだけ。
安くて、簡単で、しかも半永久的に使える。
一本のボトルを毎日飲みながら数日掛けて飲み干したい人に最適。(頻繁にキャップを外す人におススメ)
アンチオックス
近年開発された、脱酸素タイプの保存道具。
使い方は、このキャップで栓をするだけ。
ワイン劣化の原因となる酸素のみを、内蔵されたカーボンフィルターによって吸い出してくれる。
種々のワイン協会やワイン専門誌にも認められたすごいやつ。
フィルターの寿命は5年程度。
今週開けたワインを、来週、再来週の土日まで保存したい人に最適。(キャップを外す頻度が低い人におススメ)
シャンパンセーバー
スパークリングワイン専用キャップ。
炭酸が抜けるのを防止する。
ただしスパークリングワインは、保存などせずに出来る限り短時間に飲み干すのが最も好ましい。
手入れの3種
トレシー
一流のソムリエ・バーテンダーも愛用するグラス専用クリーニングクロスで、バーのグラスみたいにピカピカに磨き上げることが出来る。
グラス以外のものは絶対に拭かない。
ちょっと安いトレシーはサイズが小さく不便なので、最大サイズ「業務用」を薦めたい。
グラス用スポンジ
他の食器類に使っているスポンジとは別に、グラス専用スポンジを用意する。
きちんと使い分ければ、100円のスポンジでも何でもよい。
肝心なのは、油ものを洗うときに使うスポンジとグラスのスポンジを区別すること。
また、グラスはまれに希釈した酢に浸けて漂白するとなおよい。
ワイングラスホルダー
見栄えよくグラスを収納することが出来るホルダー。
地震対策にもなる。
以上。
上級者向けとして書いたためプロ向けの物も多数含まれる。
もちろん、これらの全てを揃える必要はない。
自分の好みに応じて、必要なものと使いたいものから入手するのが最良だ。
皆さんのワインライフがより豊かになることを願います。