せめて野良猫のように自由に生きたい。肥えた奴隷より痩せた自由を。日本一周者並の感想

実家が猫を飼い始めた。

猫は可愛いから好きだ。

だがこうして家猫を見ていると、少しかわいそうに思える。

僕はバイクで日本一周など出掛けたりする。

家猫にはそういう自由がない。

常に狭い家の中に閉じ込められている。

これでいいのだろうか、と思ったが猫はこれでいいらしい。

生き物にはまず安全が大切だ。

人間は割と安全が保障されている。

殊にこの日本では確実な安全が保障されていると言っていい。

だからこう安心して日本一周など出来る。

猫の世界は違う。

外には危険が溢れる。

車に跳ね飛ばされる危険もあるが、まず猫同士の抗争という危険がある。

人間は道端で知らない人に出会ったからといって無意味に争いを始めたりしない。

唐突に襲われることもない。

しかし猫は、知らない猫に出会えばまず警戒する。

威嚇して喧嘩になることもしばしばある。

他人と出会うたびに警戒、威嚇して喧嘩ばかりしていては、相当に疲れるはずだ。

これでは日本一周とか言っている場合ではない。

猫に日本一周は無理だ。

それどころかご近所を旅することさえままならん。

殊に我が実家の猫は温室生まれの温室育ちであるから、寒風吹き荒ぶ外の世界に出たがたちまち剛毛の野良猫共にこてんぱんにやられて逃げ返ってくることだろう。

自分は人間で良かったと思う。

家の猫は一日中家で寝ているだけでも、かわいいからと云って飯を食わせてもらえる。

皆から愛してもらえる。

だが人間は自分の脚で立たなければならない。

必要とされるにも愛されるにも、人間の場合には努力が要る。

家猫のように一日中食って寝ているだけの人間は最悪の穀潰しとして忌み嫌われる。

よほど美女ならそれで許されることもあるが、いくら美女でも40歳にもなって同じようには務まらない。

猫なら一生務まるのに、だ。

それでも自分は人間で良かった。

もし自分が猫に生まれ変わるなら、せめて野良猫に生まれたいものだと思う。

野良猫をするのも全くご苦労なことだろう。

飯は手前で工面せねばならない。

時には喧嘩もある。

安心していられる期間というのはほぼ無い。

常に生きるか死ぬかである。

だが飯となるネズミを追っかけ回したりなんかは無論当人は必死だろうが、些か楽しそうだ。

少なく見積もったとして、家で動かずとも皿に飯が出てきて本能を持ち腐らすよりかは、能力を活かして生きていく方が楽しかろう。

だから自分は、野良猫になりたいと思った。

まあ、バイクでも野良猫でも車に跳ね飛ばされるのだけは御免こうむりたいものではあるのだが。

スポンサーリンク







スポンサーリンク