家や住民票さえ無くても働ける世界を知った。名前とやる気だけで働き、生きていく

以前【家無し生活】Q.家無くても(旅先でも)働けるの? A.働けます、住所不定じゃなければ。こんなものを書いた。

この記事はまあまあの反響があった。

しかしこの時の僕はまだ、狭い世界に生きていた。

今なら言える。

名前さえあれば働ける、と。

何もない、それでも働ける

旅の途中、とある宿。

朝、ぼんやりと遅めの朝食をとっていると、作業着の人がやってきた。

この土地の農家の人だった。

僕はその時も相変わらずの無職。

そこで一言声を掛けてみた。

「あの、ちょっと働きたいんですけど。」

彼はこう答えた。

「ええで。」(大阪弁)

「働くこと」以外は何も求められない

「ほな、電話番号教えて。」

その場で電話番号だけ交換し、「あとで見学にでも来る?」とだけ言って彼は立ち去ってしまった。

その3分後、彼から電話が掛かってきた。

『ごめん、名前聞くの忘れた』

その日も相変わらず暇を持て余していた僕は「まあ、暇だし行くか。」と思い立って、彼のもとを訪ねた。

僕は言われた通り、見学のつもりで行ったから何も持っていない。

完全な手ぶらである。

「おお、来たか!」と迎えてくれた彼は、「じゃあ始めようか!」と早速仕事に取り掛かるようだった。

僕も含めて。

あとは「やる気」

「見学のつもりでいたので、何も持ってないです」

そう言うと、「じゃあ今日はやめとく?」と聞かれた。

むしろ、いいのか?

仕事に必要な物すら持っていないのに。

「じゃあやります。」と答えると、仕事に必要な物はその場で全て貸してもらった。

名前を書いたりハンコを押したりする契約の書類は、一切ない。

「やる」と答えたのが契約だった。

住民票も要らない。

だって住所を書く書類が無い。

仕事は地方にいくらでもある。

旅をしていれば分かる。

このような仕事が、世の中にはいくらでもある。

5月、山形を通って来た時には旅館でも僅かに一週間だけ、なんの書類も書かずに働いたものだ。

同じく5月の山形、さくらんぼ農家が人手不足でいくらでもバイトを募集していた。

そして北海道にいる今も状況は同じだ。

仕事は周りにいくらでもある。

住所不定の人間もたくさん働いてる。

書類が無いってことは、この契約はお互いの信頼によってのみ成立する。

雇う側は、僕たちがきちんと働くと信じて雇う。

こちらは適切な待遇が与えられると信じて、働く。

僕が彼らのお役に立てたのか、それは甚だ疑問ではあるが。

彼らがとても信頼できる良い人たちだったということは、間違いない。

そんなことがあって、何一つ持っていない僕は最後まで住所すら聞かれることもなく、旅先でちょこっと仕事をしてきた。

みんなとても優しくて、仲良くしてくれた。

素晴らしい出会いだった。

いつか恩返しするつもりだ。

(追記:この翌年、日本一周の旅に出て彼らと再会し、お土産を渡すことが出来た。)

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