名作ホラー「シャイニング」観たら意味不明過ぎてキレた

「It」でもお馴染みの有名ホラー作家スティーブンキングの小説「シャイニング」の映画版を観た。

オリジナルは143分アメリカ版である。

しかし日本で観れる↑これは119分版。

25分はどうした?

って話である。

以下、出来る限り核心には触れないようにするが、ネタバレを含む可能性があるので注意。


「うわっ…僕の妻、強すぎ…?」

まずこの作品は、主人公が狂っていくというのがストーリーの大筋となっている。

ゆえに、主人公が最大の恐怖対象として描かれる。

役者の演技は素晴らしく、本当に魅入ってしまう。

特に主役のジャック・ニコルソンは最終的には完全なる狂人を演じることになるが、彼はもしかすると、当時本当の狂人だったのかもしれないと疑ってしまうほど見事に狂っている。

本物の狂人でなければ、あんな顔は出来ないはずだ。

妻役を演じるシェリー・デュヴァルの演技も、動揺を隠せないシーンや怯え切った態度など、不憫に思えるほど迫真だった。

しかし如何せん、劇中でこの妻は強すぎた。

まず主人公ジャックが狂い始めた初期の段階で、妻ウェンディはどこから引っ張り出してきたのか、木のバットを標準装備している。

ホラー映画で、しかも人間相手の初期装備としてはバットって強過ぎるんじゃないか?

そのとき主人公ジャックは銃どころか、斧、棒切れさえ持っておらず、丸腰で妻に襲い掛かった挙句にバットで殴り倒されて階段から転げ落ち、物語終盤まで引きずる重傷を負っている。

夫を平然と殴り倒す妻ってのもこわい。(泣き叫びながらとはいえ、追い打ちの二発目を浴びせている)

おまけにそのあと、気絶したジャックを密室に運び込んで閉じ込めてしまった。

恐怖対象が不甲斐なさすぎる。


何があったんですか

平凡なアメリカ人だった主人公ジャックは、劇中の序盤で、仕事中に話しかけてきた妻に突然ブチ切れる。

急にどうしたの?

それまで仲睦まじい様子で描かれていた夫婦の関係が、手のひらを返したように悪化している。

伏線や前触れがあるならいい。

しかしジャックがキレたのは本当に突然のことだった。

また、そのあと彼が「マジもんの狂人の顔」をし始めた時もきっかけが無かった。

やっぱこの人もとから統合失調症だったんやな…って。

とにかくこの映画、展開が急すぎるのよ。

これこそが25分割愛による最大の弊害となっている。

作品を観終わったあとで割愛された25分の内容を確認したところ、納得のいく部分が多かった。

じゃあなぜ切ったし。


超能力(笑)

主人公夫妻にはかわいい一人息子ダニーがいるのだが、物語が始まってすぐに彼は一人で会話し始める。

その時は「え、この子統合失調症?」と思ったが、それはどうやら超能力だったらしい。(霊能力とも言えるかも)

だがこの超能力についても劇中では明らかに説明不足で、演出のおかげで「あ、いま超能力使ってんな」ってのは分かるとしても、「で、何これは?」感が拭えない。

原作小説では非常に重要な役割を果たすダニーの超能力であるが、映画版ではそれを描き切れていない。

しかもこのダニー、賢すぎると筆者の中で話題に。

ジャックに追い掛けられたダニーは、父ジャックを撒くべく策を弄する。

この作戦、幼い子供が刃物を持った大人の男に襲われながら立案・実行したとは到底思えない周到なものであり、ダニーは幼くして冷静沈着で肝の座った天才児ということになる。

この作戦は無論、成功を収める。

6歳児にハメられるおっさん。


伏線なの?

映画の一番最初で気味の悪い双子が登場し、以降も度々お目にかかることになる。

これが特に何の意味も無いので悲しい。

なんで出したん?

もちろん、双子がホテルに住み着く霊ということは分かるし、前回の事件の被害者であろうということもすぐに見当が付く。

で、それ以上でもそれ以下でもないっていう、一番微妙なやつ。

物語中盤の風呂場のやべー奴(まじでヤバい)も一体何の意味があったのか。

まあ、怖いから出したんだろうな。

ホラー映画だし。


総評:意味不明だけど…ホラーとしてはアリ

この映画は、つまり、原作とは全くの別作品に仕上がっている。

原作小説ではアルコール依存症や超能力(心霊現象)、家族愛など複数の考えさせられるテーマを扱っているのだが、映画版では尺の都合か、それらが大きく省かれている。

特に119分版では、脈絡を掴むために必要だった部分までとことん削られており、映画版の超能力が(笑)状態なのもそのせい。

この作品はストーリー性、脈絡を失って、単なるホラー要素だけの作品になってしまった。

実はシャイニングの原作者スティーブン・キングも、この映画とその監督を激しく批難しており、出来れば作り直したいと考えたらしい。(そして実際にドラマ版で再映像化した)

深い読み方が出来るストーリー性のある原作ゆえ、この映画は「原作にあった良さが失われてもったいない」と感じられる。

しかし映画版シャイニングの評価が非常に高いことは無視できない。

「ホラー映画として」そして「映像作品として」は、役者の演技しかり、監督の演出しかり、非常に評価されている。

だから、ここまで「キレた」とか「もったいない」とか散々なことを言っておいてなんだが、筆者はこの映画のホラー要素を十分に楽しんだ。

考えさせられる作品が観たいなら、シャイニングの映画版はおススメできない。

しかし、あなたが純粋にホラーを楽しみたいということならば、この映画はきっとあなたに恐怖を届けてくれるはずだ。

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